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アトピー性皮膚炎に対するプロアクティブ療法について。理想と現実。(皮膚科情報)

プロアクティブと言えば、繰り返しテレビに出て来る”某ニキビのスキンケア用品”を思い出すかもしれませんが、”プロアクティブ療法”というアトピー性皮膚炎に対する治療があります。2016年度の日本皮膚科学科の「アトピー性皮膚炎の治療ガイドライン」でも推奨されています。
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一体どんな治療なのでしょうか。
簡単に言えば、「症状の出る前から予防的に治療する」のがプロアクティブ治療です。つまり、ステロイド外用やタクロリムス(免疫抑制剤)外用で症状が改善し寛解した後も、外用を中止しないで継続して寛解状態を維持する治療です。言い換えれば、症状のない時もステロイド外用やタクロリムス外用をある程度使用するということです。もちろん外用薬の使用量や使用頻度は漸減していきます。
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確かに症状のない時にも、ステロイド外用を続けていれば、アトピー性皮膚炎の再発は抑えられると思います。また何らかの原因で症状が再燃しても、その悪化を抑えられると思います。
副作用に関しては、状態に応じてステロイドのランクをうまく選択し医師の指導の下で行えば、それほど心配な副作用は起こらないように思います。理論的には理にかなってます。
しかしながら現実は、状態の良い皮膚にステロイド外用薬を塗ることに抵抗を感じる人も実際いると思います。また、軽度なアトピー性皮膚炎ならともかく、常に湿疹が存在する人がほとんどであり、このようなプロアクティブ療法を実施することのできる人がどの程度存在するのか疑問に思います。
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日本皮膚科学会は、大学病院などにおける臨床試験の結果に基づいてプロアクティブ療法を推奨しています。現実を打破して理想に向かって努力するのが医者の務めであると肝に銘じるべきなのでしょう。
ただ、自分のような町医者が学会の権威に物申すなどとは微塵も考えませんが、、、、、何をかいわんや。
<09/06/2016 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>