一般的にはちょっと難解でイメージしにくい「痒疹」について その② | 札幌市中央区の皮膚科なら宮の森スキンケア診療室

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一般的にはちょっと難解でイメージしにくい「痒疹」について その②

「一般的にはちょっと難解でイメージしにくい「痒疹」について その①」の続きです。
痒疹は、急性痒疹・亜急性痒疹・慢性痒疹に分類されます。
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急性痒疹は、その名の通り急性に起こる痒疹で、現実的には虫刺されで起こるものです。虫刺されを契機として、搔破によって反応性に生じた皮疹です。
通常は虫刺されであれば、虫刺性皮膚炎として一時的な痒みを伴う皮膚炎が生じますが、アレルギー体質などが原因となり痒疹が生じます。
また虫の種類によって、例えばブユやヌカカに刺されたときに痒疹が生じやすい傾向があります。
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亜急性痒疹は、慢性の経過をたどり、均一の大きめの丘疹をほぼ等間隔で示すものです。ほとんどが原因不明で主に高齢者に起こります。この亜急性痒疹が正直申し上げて分かりにくいイメージが強いです。
これが掻破によって自家感作(何らかの原因でアレルギー反応を起こす)を起こし自家感作性皮膚炎へと移行することがあると言われています。一方で自家感作皮膚炎を掻破しているうちに亜急性痒疹になる、との報告もあります。さらに、自家感作性皮膚炎との鑑別が重要である、とも。う~む、わかりにくい。
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慢性痒疹には、代表的なものとして多型慢性痒疹と結節性痒疹があります。
多型慢性痒疹は、主に腹部や腰部の衣服がこすれたりベルトやゴムで締め付けられる部位に起きます。比較的小さい(亜急性痒疹より小さい?)丘疹が見られ、湿疹様の部分も見られ多様性があります。米国では痒疹ではなく湿疹に含めているようです。背景に蕁麻疹が出やすいなどの体質が絡んでいる場合が多いです。
結節性痒疹は、丘疹というよりはその名の通りで結節となった大型の痒疹です。ほとんどが虫刺されがきっかけで、掻破を繰り返すうちに慢性化したものです。
これら慢性痒疹は、症状・所見とも比較的わかりやすいものです。
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痒疹の原因は不明なことが多いこと。それぞれの体質や掻破行動で症状が異なること。特に亜急性痒疹のイメージがむつかしいこと。云々。
難解ですが、今回まとめたことで改めて学びなおしました。
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<01/12/2020 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>