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院長ブログ

シャンプーの仕方 基礎を知って上手に応用しよう

子供の頃、”面倒ゆえに”何となく”シャンプー・洗髪をしていたと思います。
親に「これからは自分でやれ」と、いつの間にか自分でするようになり、でも詳しい方法を教わったこともなく何となくシャンプーをしていたと思います。
親も正しいシャンプーの仕方を知っていたかどうか疑問ですが。
子供の頃はとにかく洗っていれば大丈夫でした。
しかしながら、中学生頃から皮脂分泌が多くなり、それまでのシャンプーと同じではきちんと洗髪できません。
誤ったシャンプーで、痒みが出たりフケが多くなったり、トラブルが発生します。
また大人になってからも、朝シャンであるとかスカルプシャンプーであるとか、いろいろ生活様式の変化やシャンプー剤の変化についていくのが大変です。
今一度、洗髪・シャンプーの仕方を学びなおしましょう。

<シャンプーと髪・頭皮の関係>
①夜のシャンプー、特に就寝前がベストです。
睡眠中に頭皮から皮脂が多く分泌されます。
その間、皮脂を栄養とする常在菌(アクネ菌や癜風菌)が増殖しやすくなるので、夜間特に就寝前が理想的です。
寝る直前だと髪を乾かすのが大変だったり目が覚めて寝つきが悪くなったりするので、時間帯は自分に合うように決めましょう。

②朝シャンするなら軽めに。
かつて朝シャンブームがありました。
今から30年以上前です。1987年に「朝シャン」が「新語・流行語大賞」の新語部門・表現賞に選ばれています。
それに応じて、朝シャン出来るようなシャワー付きの洗面台があるかどうかが、一人暮らしの部屋を決めるポイントになっていました。
さて、今でも朝にシャンプーする人は多いと思います。
しかしながら、朝だけならともかく、夜もシャンプーする「1日2回シャンプー」の習慣は髪や頭皮を痛める可能性があります。
皮脂を落とし過ぎて乾燥し髪を痛め頭皮を傷つけてしまいます。
夜は通常通りシャンプーし、朝はお湯ですすぎコンディショナーだけにしておくのがお勧めです。

③洗髪の頻度はどうする。
特に理想の頻度、週に何回シャンプーすべきか、はありません。
髪の毛と頭皮の状態次第で変わってきます。
また年齢・性別・季節・汚れの程度で異なってきます。
男性は50歳を過ぎても頭皮で分泌される皮脂の量にそれほど変化はありません。
一方の女性は40歳くらいから皮脂が減少します。
女性の場合、特に40歳を過ぎると頻繁なシャンプーは髪と頭皮を痛めてしまう可能性があります。
季節的には、夏に皮脂分泌が多くなります。また夏は汗も多く髪と頭皮は汚れがちです。
また疲れやストレスで皮脂分泌が増える傾向があります。こんな時は髪は汚れやすいです。
その時の髪・頭皮の汚れ具合と調子でシャンプーの頻度を決めるべきです。

<界面活性剤を知る>
最近のシャンプー剤は、目的別・機能別に分けられて販売されています。
例えば、脂性肌向き(さっぱりタイプ)・乾燥肌向き(しっとりタイプ)、フケ対策(主な原因となるマラセチア菌を抑える抗真菌剤配合)など。
上手にシャンプー剤を選択する近道として、シャンプーに含まれる洗浄成分である界面活性剤から考える必要があります。
頭皮と毛髪の主な汚れは、皮脂による油汚れです。
脂汚れは、水洗いでは落とせません。
仲が悪いことを「水と油の関係」と表現しますが、実際に水と油は混ざり合うことがありません。しかし、界面活性剤を加えると簡単に混ざり合って、安定な乳化液をつくることができます。これはその構造上「水になじみやすい部分(親水基)」と「油になじみやすい部分(疎水基)」の両方をあわせもつという特徴によって、水と油の両者を結び付けるのです。ですから皮脂や油っぽい汗で汚れた頭皮や頭髪を、水だけで洗ってもこれらは落ちませんが、シャンプーすると界面活性剤の力で水とそれら油っぽい汚れが馴染み合って落ちるのです。

界面活性剤には大きく分けて、水に溶けた時に電離してイオンになる「イオン性界面活性剤」とイオンにならない「非イオン性(ノニオン)界面活性剤」があります。
さらにイオン性界面活性剤には、水に溶けた場合のイオンの種類により、”アニオン(陰イオン)界面活性剤”、”カチオン(陽イオン)界面活性剤”、”両性(陰イオンと陽イオンの両方を併せ持つ)界面活性剤”の3種に分類されます。
このように界面活性剤には、イオン性界面活性剤の3種類と非イオン性(ノニオン)界面活性剤の合計4種類があります。

まとめると以下のようになります。
①イオン性界面活性剤
アニオン界面活性剤・カチオン界面活性剤・両性界面活性剤
②非イオン性(ノニオン)界面活性剤

シャンプーに主に使われる界面活性剤は、「イオン性界面活性剤であり、その中でもアニオン(陰イオン)界面活性剤」です。

アニオン界面活性剤は、”乳化・分散性に優れ、泡立ちが良く、温度の影響を受けにくい”特徴があります。
このため広くシャンプーに使されます。
元となる化合物によって、①高級アルコール系・②アミノ酸系・③石けん系などが存在します。

①高級アルコール系:市販のシャンプーの多くは、石油由来の高級アルコール系が使われています。高級と言っても、高価だとか良質だとかという意味ではなく、アルコールの分子の炭素の数によって決まります。炭素数1~5を低級アルコール、炭素数6以上を高級アルコールと呼びます。ちなみにお酒に含まれるエチルアルコールはC2H5OHなので低級アルコールです。高級アルコールは、安価で洗浄力が強い特徴があります。頭皮が皮脂でべた付きやすい人や汗の多い人向きです。しかしながら洗浄力が強いため皮脂を過剰に落としてしまい、頭皮が乾燥してしまいます。場合によっては頭皮にダメージを与えてしまうこともあり得ます。
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウムなどが代表的です。

②アミノ酸系:アシル基(脂肪酸残基)とアミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニンなど)からなるアニオン界面活性剤です。高級アルコール系の界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)と比べると洗浄力は弱いですが、頭皮への刺激が小さいことが特徴です。アミノ酸系界面活性剤の多くは、肌のpH5~6と同じ弱酸性で刺激が少なく、保湿性が高いという側面があります。敏感肌向きです。
ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルサルコシンNa、ラウロイルメチルアラニンNaなどがあります。

③石けん系:動物性や植物性の油脂から作られます。分解しやすく残留しにくい特徴があります。そのため環境には優しいとされています。アルカリ性なので刺激になる場合があります。使用後は酸性のリンス(コンディショナー)で中和する必要があります。皮脂の洗浄力が大きいため、敏感肌やアトピー性皮膚炎の方には不向きなこともあり得ます。
石けん素地。カリ石けん素地などがあります。

④その他の界面活性剤:
A)カチオン界面活性剤:繊維などへ吸着しやすく、”帯電防止効果”があり、また”殺菌性”があります。「逆性石けん」と呼ばれることもあります。ヘアリンスにも使用されます。ノンシリコンと言われるシャンプーには、この界面活性剤が含まれています。
ポリクオタニウム―10、ポリクオタニウム―7など。
B)両性界面活性剤:”皮膚に対してマイルド”で、水への溶解性に優れます。他の界面活性剤と相乗効果があり、洗浄性や起泡性を向上させる補助剤としてシャンプーに広く使用されています。コンディショニング効果(保湿効果が高く髪が潤う)があります。
コカミドプロピルベタイン、ラウミドプロピルベタインなどがあります。

シャンプー剤の骨格は界面活性剤であることは今まで述べてきました。
では、どのように自分に合ったシャンプーを選択すれば良いのでしょうか。

<シャンプー剤の選択>
シャンプー剤の容器の裏側?に必ず成分表記がしてあります。
たくさん書かれており、しかも字が小さいです。老眼には解読が困難です。
配合量の多い順に記載されていますので、先頭の方に注目してください。
高級アルコール系かアミノ酸系か石けん系かわかるはずです。

アトピー性皮膚炎の方、敏感肌、乾燥肌の方は、刺激が少なく保湿効果のあるアミノ酸系のシャンプーの選択をお勧めします。
オイリーな方、脂漏性皮膚炎の方(頭皮が赤くて痒みもありフケが多い)、頭皮の汗が多い方、頭に吹き出物やニキビの多い方は、高級アルコール系のシャンプーがお勧めです。場合によっては、加えて防カビ成分や抗菌作用成分の配合されているシャンプーが効果的なこともあります。
石けんシャンプーは、原料由来が天然の動植物油脂からできており、化学物質の使用が比較的少ないのでアレルギーが出にくい特徴があります。また使用しても手荒れしにくいメリットもあります。強い洗浄力ゆえに頭皮が脂っぽい人に向いています。手荒れでお悩みの方にもお勧めです。
自分に合ったシャンプーで先発すると、頭皮の健康が維持され、場合によっては抜け毛も減ります。

シャンプーは何故必要なのか、どうして頭皮と毛髪の汚れが落ちるのか、自分に合ったシャンプーをどう選ぶのか。
多少の参考になれば幸いです。
<29/06/2026 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>