コロナワクチン接種後の皮膚における副反応について  | 札幌市中央区の皮膚科なら宮の森スキンケア診療室

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院長ブログ

コロナワクチン接種後の皮膚における副反応について 

我が国でコロナワクチンの接種が始まって約8か月が経過しました。
当初他国に比べて接種の遅れが指摘されていましたが、いつの間にか世界的にもトップクラスの接種率になっています。
今後は3回目のブースター接種が始まります。
これまではワクチンの副反応に関して、疼痛や発熱、倦怠感などが注目されていましたが、皮膚症状もあります。
徐々にデータが揃って来て、皮膚科学会誌に群馬県の症例ですが報告がありました。
散発的には時々医学雑誌等で目にしていましたが、ある程度まとまった報告は初めてのような気がします。

コロナワクチンの接種後皮膚副反応と診断した22例を検討しています。
症例は20~60歳代で、モデルナ社製12例、ファイザー社製10例が報告されています。
モデルナ社製とファイザー社製で皮膚症状のタイプが異なる傾向があります。

モデルナ社製では、
凍瘡型、麻疹型、遅発性大型局所反応型、接触皮膚炎型、蕁麻疹型が報告されています。
凍瘡型は、いわゆる”しもやけ様”の皮疹です。掌蹠(手のひらや足の裏)、指趾に限局して、疼痛や熱感を伴う淡紫紅色紅斑が特徴です。接種後7~10日後に出現しています。
麻疹型は、いわゆる”はしか様”の皮疹です。接種部位の上腕外側に強い浸潤を伴う紅斑が出現し、体幹や四肢に小豆位の大きさの淡紅色の皮疹が播種状に広がります。接種後2~4日に出現しています。
遅発性大型局所反応型は、話題になった”モデルナアーム”のことです。接種後1週間後くらいに接種部位全体に淡紅色の皮疹が出現します。これで来院される方が当院でも多かったです。
接触皮膚炎型、蕁麻疹型は、いづれも2~5日後くらいに出現するようです。

ファイザー社製では、
接触皮膚炎型、麻疹型、ジベルバラ色粃糠疹型、大型局所反応型などが報告されています。
麻疹型は、接種後7日後~20日後に出現しています。モデルナ製と比較すると遅発性の傾向があります。
ジベルバラ色粃糠疹型は、接種後翌日に出現しています。
大型局所反応型は、接種後4日後に接種部位に出現しています。

まだまだ副反応と確定した症例は少ないですが、知らないうちに治っていたり、特に医療機関を受診しなかったりした場合もありますので、以上の報告は貴重な参考になると思います。
ただ報告を見た印象としては、接種後比較的時間が経ってから副反応が出る印象が残ります。

これから3回目の接種が始まります。今回の報告が副反応として認知するきっかけとなり、自分も見逃さないよう意識しようと思います。
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<05/12/2021 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>