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アトピー性皮膚炎 の 増悪因子 と その対策 

アトピー性皮膚炎は、冬場は乾燥により夏場は汗や蒸れにより悪化する傾向があります。もちろん人によりますので、冬のほうが調子のいい人もいれば、夏のほうが状態が良いという人もいます。
しかしながら、最近暑くなってきたためかやや悪化気味の人が多い印象があります。
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アトピー性皮膚炎は、痒みを伴う湿疹がほぼ左右対称に出現し、特に顔や首、肘窩(肘の内側)や膝窩(膝の内側)、腋窩から体側にかけてなど、刺激(擦れや汗など)を受けやすい部位に特徴的な皮疹として見られます。
アトピー性皮膚炎は、遊離アミノ酸、尿素などの天然保湿因子、セラミドなどが不足しがちで、バリア機能(外界からのアレルギーの原因となるアレルゲンや刺激物の侵入を防ぐ機能)が低下しており、時にフィラグリン(バリア機能と関連する蛋白)の異常が見られることが分かっています。
アトピー性皮膚炎の発症は、以上のような皮膚のバリア機能の低下及び元来のアレルギー体質に、アレルゲンや汗、化学物質、物理的刺激(擦れる、寒暖刺激等)など様々な刺激が加担し、炎症を起こし増悪させることが原因となるのです。
アトピー性皮膚炎の治療には、「皮膚の炎症を抑える薬物療法」「低下したバリア機能の改善を目的としたスキンケア」「アトピー性皮膚炎を増悪させる原因の除去」が基本になります。
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アトピー性皮膚炎を悪化させる増悪因子とその対策について考えてみました。
増悪因子には①アレルギー性と②非アレルギー性の因子があります。
①アレルギー性の因子には、ハウスダスト、ダニ(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニなど)、ペットの毛、食べ物(小麦、卵、そば等)、花粉、カビなどの真菌に代表される環境アレルゲン、化粧品、塗料、衣服、ラテックス(ゴム)、金属、洗剤、外用薬などの接触アレルゲンがあります。
②非アレルギー性の因子には、衣服などによる擦れ、汗、掻破行為、睡眠不足や不規則な生活、ストレスなどがあります。
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このうちアレルギー性の因子の環境アレルゲンの中で、ほとんどののアトピー性皮膚炎の方はハウスダスト、ダニにたいするアレルギーを持っています。ここで述べるまでもなく、様々なメディアで言われる通り、いかにハウスダストやダニを身の回りから取り除くかが問題となります。
ハウスダスト・ダニ対策は、室内的には、掃除機をかける、換気する、畳や絨毯を避け床をフローリングにする、空気清浄機の使用などが挙げられます。さらに寝具の日干し乾燥、高密度繊維(ダニを通さない)のベットカバーやシーツの使用などが推奨されます。しかしながら経済的負担が大きいのが難点です。
ハウスダスト・ダニと並んでアレルゲンとして多いのが、花粉です。北海道では春先のハンノキ、シラカバ、初夏から夏のカモガヤ、オオアワガエリ、秋のブタクサなど鼻炎だけでなく顔のアトピー症状が悪化する原因となります。花粉にアレルギーのある方は、外出時は防御する目的で眼鏡の使用とマスクの着用(コロナ禍終了後も)、帰宅時は軽く洗顔するなどの対策が必要です。
昨今のペットブームで、ペットに対するアレルギーも重要な因子です。イヌやネコの毛が主なアレルゲンになりますが、ハムスターやウサギもアレルゲンになります。ペットをこまめに洗ったり、寝室にはペットを入れないようにするなどの対策が必要です。
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非アレルギー性の因子の中で特に重要なものは黄色ブドウ球菌です。
夏になり暑くなり湿度が上がってくると、皮膚における有害な細菌の増殖がアトピー性皮膚炎を悪化させることがあります。特に黄色ブドウ球菌は特にその毒素が著明に皮疹を悪化させます。黄色ブドウ球菌はとびひ(伝染性膿痂疹)や膿痂疹湿疹の原因となります。こまめに汗を流し肌を清潔に保つことが大切です。この際注意しなくてはならないのは、身体を洗う際に決して肌を擦らないことです。擦ることで肌を傷つけかえって細菌が増殖する温床を作ってしまいます。バリア機能の低下したアトピー性皮膚炎の方はなおさらです。
加えて睡眠不足やストレスなども大きなアトピー性皮膚炎の増悪因子です。
過去のブログに詳しくありますのでご覧ください。
<睡眠不足とアトピー性皮膚炎>
<ストレスと皮膚の関係>
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アトピー性皮膚炎の増悪因子を除去するのはたやすいことではありません。可能な範囲で良いですから実践してみるのが大切です。
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<15/06/2021 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>