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院長ブログ

漢方薬(十味敗毒湯)の生薬(桜皮)に含まれるフラボノイド(ゲニステイン)の効果 (皮膚科情報 漢方情報)

当院では漢方薬を割と高頻度に処方します。中でも十味敗毒湯は比較的多用する漢方薬です。
ニキビが一番多いですが、アトピー性皮膚炎などの湿疹や蕁麻疹にも処方します。
十味敗毒湯を構成する生薬の一つに「桜皮(オウヒ)」があります。この桜皮の薬理作用とその機序が明らかになってきました。
桜皮とは、バラ科のヤマザクラなどサクラ属の樹皮のことで、日本由来の生薬であり中国ではあまり使用されることがなく、江戸時代に”毒消しの薬”として、解毒、鎮咳去痰剤などさまざまな用途に利用されていたようです。
桜皮にはポリフェノールの一種フラボノイドの「ゲニステイン」が含まれています。
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ポリフェノールとは、植物の光合成によってできる色素や渋み、苦味の成分であり、本来は植物の細胞の生成や活性化を助ける働きを持つ物質です。ポリフェノールは抗酸化作用が強く、体内で発生する有害な活性酸素を抑える効果があります。動脈硬化を抑える、発癌抑制、抗老化作用など様々な効果が確認されています。
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桜皮に含まれるゲニステインは、経口摂取後は血管内で不活化型として存在していますが、皮膚の炎症付近の血管透過性亢進による血漿成分(血液の液体成分)の漏出や白血球の血管外遊出とともに血管内から炎症の起きている組織に移行し、マクロファージ(白血球の一種)の作用で活性型のゲニステインに変換されます。これがさらにマクロファージに作用して貪食作用(アクネ菌などの細菌を食べる)を亢進させます。いわゆる「抗菌・殺菌作用」を発揮します。
またゲニステインにはエストロゲン様作用があることが報告されています。女性ホルモンであるエストロゲンは、男性ホルモンのアンドロゲンに拮抗的に働き、「アンドロゲンの皮脂分泌によるニキビの発生を抑制する」と言われています。
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このように最近は何故漢方薬が効くのか?様々な研究が進み科学的に効果や作用機序が確認、解明されるようになってきました。
漢方治療を学ぶ者にとって心強い限りです。それと同時にもっともっと学ばなければなりませぬ。
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<13/11/2018 札幌市 中央区 皮膚科・形成外科 宮の森スキンケア診療室>