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血小板活性化因子(PAF)と蕁麻疹の関係 (皮膚科情報)

血小板活性化因子(Platelet-Activaing-Factor=PAF)とは、あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、1972年にフランス人免疫学研究者ジャック・バンヴェニスト(Jacques Benveniste)によって発見され、血小板を凝集させ血管を拡張させる止血の過程において重要な役割を果たすケミカルメディエイター(化学伝達物質)の一つです。最近、血小板活性化因子(PAF)はアレルギーや炎症など多彩な生理作用を持っていることが明らかになってきました。中でも蕁麻疹との関連が注目されています。
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血小板活性化因子(PAF)は色々な細胞から産生されます。好中球、好酸球、好塩基球、マクロファージ、肥満細胞といった白血球、血小板、血管内皮細胞(血管を構成している細胞)、気管支、腎臓、肝臓、子宮など様々な臓器の細胞から産生されます。これらの臓器や細胞は、血小板活性化因子(PAF)を産生すると同時にその作用を受けます。例えば、白血球の類(好中球、好塩基球、好酸球、肥満細胞)であれば感染・炎症部位への接着や凝集そして脱顆粒を起こしヒスタミンなどを放出させます。気管支であれば気管支を収縮させ過敏性を亢進させます。子宮であれば子宮を収縮させます。
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蕁麻疹は、何らかの理由で、アレルギーと密接に関係する白血球の一種である肥満細胞からヒスタミンが放出され、血管透過性が亢進しかゆみを伴う膨疹が出現する、というのが主な病態です。しかしながら蕁麻疹の出現にこの血小板活性化因子(PAF)がある程度関わっています。
①血管内皮細胞に作用し透過性を亢進させ膨疹を起こす。
②末梢神経の活性化を介して肥満細胞を活性化し脱顆粒を促進させヒスタミンを遊離させる。
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蕁麻疹の治療として、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬によってヒスタミンの作用を抑える治療が主ですが、この血小板活性化因子(PAF)の作用を抑えることも蕁麻疹の治療に一役買ってくれる可能性があるのです。
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<21/11/2018 札幌市 中央区 皮膚科・形成外科 宮の森スキンケア診療室>