交差感作に注意 (皮膚科情報) | 札幌市中央区の皮膚科なら宮の森スキンケア診療室

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院長ブログ

交差感作に注意 (皮膚科情報)

スギ花粉と言えば日本で最も有名なアレルゲンですが、北海道ではシラカバの花粉がそれに当たるかと思います。
このシラカバによる花粉症、北海道では4月5月にピークを迎えますが、花粉症や目の周りが痒くなるアレルギー性の皮膚炎を起こすだけでなく、バラ科の果物にもアレルギー反応を起こすようになることがあります。例えばリンゴ、モモ、スモモ、サクランボ、西洋ナシなどがバラ科の果物です。シラカバアレルギーの人はいつのまにか、これらの果物を食べると口や口の周りが痒くなってしまう(口腔アレルギー症候群)ことがよくあるのです。
何故か?
シラカバ花粉とバラ科の果物のタンパク質が一部似ているため、人体の免疫が同じものと認識してしまうからです。これを交差反応と言います。さらにアレルギーが成立してしまうと交差感作と言います。
さて、これと同様のことが結構身近なところで起こっています。
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山に入ってウルシ(漆)にかぶれる人は意外と多くいます。中でも特に敏感な人は漆塗りの箸やお椀にまでかぶれてしまいます。この漆かぶれの原因となる物質であるウルシオールは、果物のマンゴーのマンゴール、銀杏の種皮やイチョウの葉に含まれるビロボールやギンゴール酸、カシューナッツに含まれるカルドールなどと交差反応を起こすことが知られています。
ですから、ウルシにかぶれたことのある人は銀杏を拾うと手や腕に発疹が出たり、マンゴーを食べると触った手や口の周りに発疹が出たりする可能性があります。
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金属でも同様のことが起こり得ます。例えばニッケルは様々な装飾品や日用品に使用されています。実はこのニッケルは最も金属アレルギーの原因となりやすいと言われています。このニッケルは、歯科治療で使われる詰め物に高率に含まれているパラジウムと交差反応することが知られています。例えばピアスなどでニッケルにアレルギーを起こしてしまった人が、後に歯の治療で歯科金属を入れると感作されやすい可能性があります。
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その他、ゴム素材や皮膚に用いられる外用薬でも同様の事態が起こっています。
かぶれはいろいろな原因で起こります。「自分はいろいろかぶれやすい」「何にかぶれたか思い当たらない」とよく聞きます。実は以上のような交差感作を起こし、かぶれる対象が知らないうちに増えている可能性があるのです。
かぶれる対象を増やさないためにも、自分がかぶれるとわかっているものに極力接触しないようにするのが大切です。
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<28/10/2018 札幌市 中央区 皮膚科・形成外科 宮の森スキンケア診療室>