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お肌の基礎知識

vol.33 ビタミンH(ビオチン)

聞き慣れないビタミンかと思いますが、ビタミンHはビオチンとも呼ばれビタミンB群に属する水溶性のビタミンの一種です。糖質や脂質、タンパク質の代謝に必要とされ、皮膚や免疫、神経を健康に保つのに重要とされています。特に最近、皮膚との関わりが注目されています。

ビタミンHと皮膚の関係

ビタミンHが不足すると、脱毛が進む・白髪が増える・皮膚炎を起こす・肌が乾燥するなどの症状として現れます。すなわち皮膚、特に毛髪にとって重要な栄養素と言えるでしょう。また最近ではビタミンHの不足から起こる免疫機能の異常が、アトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)等と関係しているのではと注目されています。
 皮膚以外ではビタミンHが不足すると、疲れやすさ・食欲不振・無気力などを起こします。

ビタミンHを十分摂取するには

ビタミンHは多くの食品に含まれていますが、それらの多くはタンパク質と結合しています。ビタミンHはタンパク質と結合した形では腸から吸収されないのです。このため食品からビタミンHを摂取するのは意外と困難なのです。
我々の腸内には、腸内細菌が存在し、善玉菌と悪玉菌がバランス良く共存しています。このうち腸内の善玉菌がビタミンHを作っているのです。善玉菌の作ったビタミンHはタンパク質と結合していない遊離型で、これを腸から吸収しているのです。通常は腸内細菌の作るビタミンHで体に必要な十分量を得られるのですが、下痢や便秘が続いたり、抗生物質を長期間服用するなどして腸内細菌のバランスがくずれ悪玉菌優位になった場合にビタミンHの欠乏が起こると考えられています。
このようにビタミンHを効果的に摂取するには自分の腸内環境を整えるのが近道といえます。参考までにビタミンHを多く含む食品は、鶏レバー・牛レバー・ピーナッツ・ヨーグルトなどです。

ビタミンH欠乏はそう多く起こることはありませんが、下痢や便秘がちの人や長期間抗生物質を飲んでいる人は、ビタミンH欠乏を念頭に置いても良いかと思います。しかしながら、他にも多くの必要なビタミンや栄養素が存在します。特定の栄養素にとらわれないバランスのよい食事と健康管理が基本であることをお忘れなく。