お肌の バリア機能 と スキンケア の関係 その④ | 札幌市中央区の皮膚科なら宮の森スキンケア診療室

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お肌の バリア機能 と スキンケア の関係 その④

「お肌の バリア機能 と スキンケア の関係 その③」の続きです。

F : 治療薬によるバリア機能低下
 湿疹・皮膚炎特にアトピー性皮膚炎では様々な外用薬が使われます。
 ステロイド外用薬は炎症を抑える効果が優れています。炎症を抑制することにより、炎症によって障害を受けている皮膚バリア機能を回復させます。しかしながらステロイド外用薬によって炎症が収束し正常化した部分に塗布し続けると、脂質合成能が低下しセラミドなどの角質細胞間脂質の生成が阻害され透過性バリア機能が低下します。皮疹が改善した場合、漫然とステロイド外用を続けずに、塗布量や塗布回数を減らしたりステロイドのランクを下げたりするなどの工夫が必要です。
 タクロリムス外用薬(プロトピック軟膏)も同様に炎症を抑えることで透過性バリア機能を回復させます。タクロリムス外用薬の場合、正常化した部分に塗布を続けても透過性バリア機能を障害することはなく、むしろ亢進させる可能性が高いという研究結果が報告されています。
 デルゴシチニブ外用薬(コレクチム軟膏)も同様に炎症を抑えることで透過性バリア機能を回復させます。さらにデルゴシチニブによって、フィラグリン(透過性バリア機能に欠かせない角質内の蛋白質)の産生を亢進させるなど透過性バリア機能亢進作用があることを示す研究結果が報告されています。

G : 女性ホルモンの影響
 卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)卵胞ホルモン(エストロゲン)を低下させると、角質水分量が低下し(乾燥する)、低下した透過性バリア機能を回復させる作用、角質を固着させ透過性バリア機能を維持する能力を阻害することがマウスを用いての研究で報告されています。女性ホルモンは透過性バリアを維持するうえで重要な因子であることを示唆しています。

続く
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<23/06/2022 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>