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西洋医学 でいう「毒」と 漢方医学 における「毒」とは意味が違う。 

「毒」とは、生物の生命活動にとって不都合を起こす物質の総称で、毒物・ヘビ毒・ふぐ毒・ハチ毒・毒殺など、怖くて恐ろしいイメージがあります。
実際「毒」が体内に入って命を奪われることもあります。

西洋医学的には「毒」とは毒物を指します。体内に入った毒を代謝することで無害なものに変換したり排泄したりすることを解毒と言います。

漢方医学でも「毒」と言う表現があります。
漢方医学における「毒」とは「生体の正常な生理機能を阻害しているもの」を意味します。
例えば、水代謝が阻害された状態を水毒と言います。むくみ・嘔吐・めまい、などは水毒と考えます。
血虚(体を潤し栄養する血の不足)、瘀血(血が停滞した状態)など血の異常を血毒と言うことがあります。
気虚(エネルギーが不足した状態)、気滞(気の巡りが滞って鬱々とした状態)など気の異常を気毒と呼ぶことがあります。
これら「生体の正常な生理機能を阻害しているもの(毒)」を、減らしたり除去したりする(排毒)ことで病的な状態を改善するのが、漢方医学でいう解毒です。

当院で処方する漢方薬の中で毒の文字が入った方剤があります。
十味敗毒湯、黄連解毒湯などですが、毒のイメージでおどろおどろしい印象を持たれますが、いわゆる毒物とは関係ありません。
最近では、健康・美容ブームでデトックス(体に溜まった毒素を体外へ排出する)と言う言葉を多く見かけますが、漢方でいう毒、解毒の概念とはやはり異なります。
同じ「毒」という言葉でも、西洋医学と漢方医学では全く意味合いが異なるのです。
この辺が漢方医学の難しいところであり興味深いところでもあります。
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<17/03/2022 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>