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立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花  漢方の生薬の使い方を示した言葉です。

「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」
美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容する言葉です。
江戸時代の滑稽本・洒落本の中にあるようですが、詳細は不明のようです。

芍薬(しゃくやく)は、すらりと伸びた茎の先端に美しい花を咲かせます。すらっとした美しい女性をたとえています。

牡丹(ボタン)は枝分かれした横向きの枝に花をつけるため、まるで美しい女性が座っているかのように見えるさまを表現しています。

百合(ユリ)は風を受けて揺れるさまから、女性が優美に歩く姿のようだと比喩しています。

ジェンダーフリーとか言われる昨今、こんな女性への表現も批判されかねない時代になりましたね。世知辛いですね。
それはさておき、この言葉は実は元来漢方薬の生薬の用い方を例えたものなのです。

「立てば芍薬」の「立てば」は、イライラと気の立っている状態を示しているようです。
このような時に、鎮痛・鎮痙作用のある芍薬の入った方剤を使うべし、と云うことのようです。
「座れば牡丹」は、座ってばかりいる人は血液の巡りが悪くなり血の滞り(お血)が起こります。
こういう人には血流を改善する牡丹の入った方剤を使うべし、と示しているようです。
「歩く姿は百合の花」は、百合の花のように足元がふらつきナヨナヨと頼りなげに歩いている様子を表現しています。
これは、心身症など精神衰弱が見られる人の歩く様を示しており、精神の安定をはかる百合(びゃくごう)が入った方剤を使うべし、と意味しています。

当院で頻用する漢方薬にも上記の薬剤が含まれるものが多くあります。
芍薬は、当帰芍薬散、桂枝加芍薬湯などがあります。
牡丹は、牡丹皮として、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加薏苡仁、大黄牡丹皮湯などがあります。
当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加薏苡仁は、ニキビの治療によく使います。

漢方薬の使い方を示した言葉が、いつの間にか美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを形容する言葉へ変わっていったのは興味深いですね。
<01/02/2022 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>