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ファンデーションの基礎知識 色材について (皮膚科情報)

ファンデーションで自分をいろいろな色彩で美しく見せたり、髪を染めてイメージチェンジを図ったり。人は色で自分自身を表現する生き物です。より美しく、時にはより若々しく、役者さんのようにわざと老け顔を作る。これらは全て色が基本です。
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色とは、波長が400ナノメートルから760ナノメートルの可視光線のことで、波長の長い順番に、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色のことです。便宜上7色と言うだけで、実際はこれらは連続しています。これらが直接あるいは反射し網膜に入った光の波長が色として認識されるのです。
物体に光を当てると、”物体表面から反射される部分”、”物体の中に入って内部反射されて外に出る部分”、”物体に吸収されてしまう部分”、”物体を透過する部分”、に分かれます。肌に光が当たると肌の表面でまず光が反射され、そしてメラニンとヘモグロビンの影響を受けた内部反射光が肌から出てきます。これらが色として認識されます。
明るい肌とは、”肌に吸収される光が少なく肌表面の反射及び内部反射の割合が高い肌”を言います。
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色を出すものを色材と言います。色材は大きく分けて「染料」と「顔料」に分けられます。
「染料」は水や油に溶け込む性質を持ち、染めることの出来る物です。へアダイ、ヘアマニキュアといったヘアカラーリング剤などに主に使用されています。
「顔料」は水や油などに溶けない色素で、普通は粉砕し、微粒子の粉末原料にして配合されます。汗や皮脂にもにじみにくく、肌を染めてしまうことはありません。ファンデーション、フェースパウダーなどに使用されます。
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「顔料」には、大きく分けて「無機顔料」と「有機顔料」があります。
「無機顔料」は、天然の鉱石や金属の化学反応によって得られる酸化物などからつくられる顔料で、「有機顔料」は石油などから合成した顔料です。「有機顔料」の方が色鮮やかですが、退色しやすい傾向があります。
ファンデーションに使われる顔料の中で中心的役割を果たすのは「無機顔料」です。
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「無機顔料」には、”有色顔料” “白色顔料” “体質顔料” “パール剤”があります。
“有色顔料”は色調を調整するものです。酸化鉄(赤、黄、黒)、酸化クロム(暗緑)、水酸化クロム(青緑)などがあります。
“白色顔料”は、色を調整するものですが、シミやソバカスを隠すことにも使われます。白色顔料として用いられる酸化チタンは光を散乱させるので白く見え、シミやソバカスが見えにくくなります。酸化亜鉛も白色顔料として使われます。これらは紫外線散乱剤(日焼け止め)としても使われます。
“体質顔料”は、着色というより、製品の肌への付着性、伸び、光沢などを調節する目的があります。滑石(タルク)、雲母(マイカ)などが使われます。
”パール剤”は、その名の通り、金属性の光沢あるいは真珠様光沢、いわゆる「パール感」を演出する顔料です。雲母チタン(微細な薄片にした雲母(マイカ)の表面を酸化チタンでうすくコーティングしたもの)が主に使われます。コーティングした酸化チタンの厚さによる屈折率の違いで、紫、青、緑、黄、赤などに調整できます。アイシャドウなどに使われます。化粧品における全成分表示では「雲母チタン」ではなく「酸化チタン、マイカ」と記載されます。
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普段何気なく「この色がいい」「この使用感がいい」と使っているファンデーションだと思いますが、実は様々な色材、中でも顔料、中でも無機顔料を、色調・反射・散乱・屈折などを考慮し複雑に組み合わせて作り上げているのです。
ファンデーションは、ある意味芸術的な「科学の結晶」です。
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<23/01/2018 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>