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保湿剤の有効成分を考えてみる。何故保湿効果があるのか。 (皮膚科情報)

前々回のブログ(どんな保湿剤があるのか)で、保湿剤にはエモリエントとモイスチャライザーの2種類があると説明しましたが、それぞれの特徴について考えてみます。
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〖エモリエント〗
皮膚からの水分の蒸発を防ぐのが主な作用です。
ワセリンが主体となります。ワセリンには、白色ワセリン、プロぺトが存在します。有効成分というより、これらそのものが保湿剤となります。
白色ワセリンは微量ですが不純物を含みます。そのためごくまれですが、接触性皮膚炎の原因となることがあります。これから不純物を除去して精製したものがプロペトです。保険適用外ですが、さらに精製したサンホワイトというワセリンも市販されています。
セラミドは油溶性なのでエモリエントに分類されます。セラミドは水分を挟み込むように保持することからモイスチュアライザー的な側面もあります。
アトピー性皮膚炎などの乾燥肌では、細胞間脂質のセラミドが低下していることが多く指摘され、セラミドの保湿効果が注目されています。そのため、市販の保湿剤や化粧水などに配合されています。セラミド含有クリーム(市販)により、尿素系やヘパリン類似物質外用保湿剤に劣らない角質水分量の増加が認められているようです。
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〖モイスチャライザーの有効成分(ヒューメクタント)〗
①ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質含有外用薬(ヒルドイド等、ジェネリックもあります)は、ヘパリン類似物質は構造的に多くの親水基(水分と結合しやすい部分)を持っているため、角層内で水分と結合し、水分を保持することでお肌を保湿します。
②尿素
尿素系外用保湿剤(パスタロン・ケラチナミン・ウレパール等、ジェネリックもあります)は、かつては、その角質溶解作用により皮膚のバリア機能に影響を及ぼすのではないか、と懸念されていました。しかしながら最近の研究では、尿素系外用剤の使用により、経表皮水分蒸散量(皮膚からどの程度水分が蒸散するか)の改善と皮膚のバリア構成成分の発現増強効果が報告されており、保湿剤としての有効性が確認されています。
③多価アルコール
グリセリンやプロピレングリコールは、優れた吸水性と保水性を持っています。
④生体高分子
ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのムコ多糖類は、角層の構造蛋白であるケラチンに結合する水分を保持する能力を持ちます。その他水溶性コラーゲンもこれにあたり、高い保水能力があります。これらを含有した市販の保湿剤や基礎化粧品が存在します。
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医薬品として保険収載されているものから市販品、安価なものから高価なものまで、多種多様です。自分に合った保湿剤を選んでください。ちなみに保険収載されている保湿剤は、あくまでアトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹などに伴う乾燥肌の治療のために用いられるものです。
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<18/10/2017 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>